第5話:「今そこにある危機」

1.地球規模の危機
  a.天災(一部人災が関与)
    イ.地震、大規模火事・火山噴火、洪水、津波、隕石衝突
    ロ.気候不順、異常気象と食料危機(<--環境破壊、地球破壊)
                <食料危機>
       1) 石油あっての食糧生産。石油が枯渇すれば全て壊滅
       2) アメリカでは2002年現在、消費総エネルギーの14~17%
         が食品を食卓に並べるまでに費やされている。
       3) アメリカのハイテク農場では正味1カロリーのエネル
         ギーを生産するために10カロリー以上のエネルギーを
         消費している。
       4) 農薬による益虫やミミズや有益な土壌バクテリアの
         死滅は土壌の肥沃さと豊かさを犠牲にした。
       5) アメリカでは牛肉1kgを得るのに8リットル強の石油
         が必要。これは4人家族が1年間暮らすのに必要な牛肉
         を賄うのに1000リットル近い化石燃料の消費が必要で、
         これだけの燃料が燃えると2.5トンの二酸化炭素が大気
         中に排出される。
       6) 人口の爆発的増加
          10億人(1825年)-->20億人(1925年頃)
                  -->30億人(1960年頃)
                  -->40億人(1975年頃)
                  -->50億人(1987年)
       7) 巨大都市の誕生とその脆弱性の増大
          人口100万人の平均的な巨大都市は、都会生活を維持
         するだけで毎日2000トンの食糧と62万5000トンの上水
         と、9500トンの燃料を必要とする。
        (ジェレミー・リフキン『水素エコノミー』柴田裕之訳、
                          NHK出版、2003年)

  b.人災
    イ.環境破壊、地球破壊
      (地球温暖化、オゾンホール、化石燃料枯渇、森林伐採、砂漠化)
       1) 21世紀初頭、世界の石油需要は240億バレル/年。石油の推定
         採掘可能埋蔵量は1.8~2.2兆バレル。2010年頃には半分採掘し、
         その後20~40年程度で枯渇する。(-->原油価格暴騰も危機の
         一つ)
       2) 地球温暖化
          IPCCのコンピュータ・シミュレーションでは世界の気温は
         1.4~5.8度上昇する。
               <地球温暖化の影響>
            1) 氷河・氷床の消失、海面上昇
            2) 熱帯雨林の樹木の成長速度が低下-->CO2処理能低下
            3) 野生生物や珊瑚の生態系への負の作用
            4) 旱魃
            5) 未経験の病気の発生
       (ジェレミー・リフキン『水素エコノミー』柴田裕之訳、
                            NHK出版、2003年)
    ロ.環境ホルモンの問題、猛毒化学物質の排泄と集積
    ハ.核戦争、宗教戦争、民族紛争、領土争奪戦、鉱物資源争奪戦
    ニ.原子力の脅威、核兵器の脅威
    ホ.人口の爆発的増加(約60億人、約1億人/年の増加)
        -->食料危機、飢餓
    ヘ.伝染病の脅威(自然からの逆襲、世界的公衆衛生の崩壊)
      (ローリー・ギャレット『崩壊の予兆』野中浩一訳、
                         河出書房新社、2003年)
    ト.国際金融マフィア(ヘッジ・ファンドの暗躍)によるエマージング・
       マーケット(新興国市場)への介入及び撹乱と翻弄(世界金融大
      恐慌のおそれ)
    チ.アメリカの世界覇権主義(イスラム(原理主義)との確執)
      西洋社会の自由資本主義とイスラムの平等主義は決して相容れない。
    リ.闇の国際兵器市場と「死の商人」の暗躍。アメリカ「軍産複合体」
      による世界中の局地戦争の画策と兵器輸出入国の不明瞭な絡み。
    ヌ.上記を総合としての人類と時代の弱体化

2.アジア諸国の危機
  a.諸国の財政・金融危機、日本の役割の重み
  b.戦争、国内紛争、(南北朝鮮問題)
  c.貿易摩擦、為替レートの問題
  d.領土問題(千島列島、尖閣列島、竹島問題など)
  e.核保有問題、中国の軍備拡大
  f.食料危機:アジア諸国が飽食の時代に突入
  g.その他

3.日本の危機(日本と言うシステムの問題)
  a.国家財政赤字の膨脹:減らない累積債務(H15/12月で約700兆円)
    入りの三悪:(1)現行累進課税、(2)赤字国債、(3)郵便貯金(+簡易保険)
    出 の三悪:(1)地方公共団体交付金、(2)公共事業
          (3)特別会計(財政投融資、補助金、ODA、PKO、などなど)
       ※一般歳出80兆円+特別会計等170兆円、合計250兆円の大デタラメ
        の浪費。2003年は更なる増税と保険料の引き上げを画策。
       ※日本の主な特別会計の歳出額の内訳など
             (2004.2.1(日)、朝日新聞朝刊、富田俊基氏)
          2004年度ベース。歳出額は総額から他会計・他勘定への繰入
         額を除いた額(財務省調べ)
    -----------------------------------------------------------
         ・国債整理基金         82兆3760億円
          ・財政融資資金        45兆1636億円
          ・厚生保険          30兆1968億円
          ・交付税及び譲与税配付金   19兆2189億円
          ・国民年金          15兆6274億円
          ・労働保険           4兆2525億円
          ・道路整備           3兆9792億円
          ・治水             1兆2642億円
          ・食糧管理            7472億円
          ・石油及びエネルギー
            需給構造高度化対策      6199億円
          ・電源開発促進対策        5033億円
          ・外国為替資金          4721億円
          ・港湾整備            3706億円
          ・空港整備            3601億円
          ・国営土地改良事業        3189億円
   -----------------------------------------------------------
           その他16会計         1兆8804億円
   -----------------------------------------------------------
           合計            207兆3511億円
           (一般会計からの特別会計繰入47兆円を含む)
          一般会計歳出        35兆円(82-47=35)
   -----------------------------------------------------------
      日本の予算・決算合計:242兆円(これが実際の国家会計)
                (国民一人当たり約192万円の負担)

       ※特殊法人・公益法人改革、独立行政法人の林立(2003〜)
         母屋(一般歳出)で国民が粥をすすっている時、離れ
        (特別会計)で役人どもがすき焼きを食っていた。それ
        がやや食べにくくなったので地下室(独立行政法人)で
        ビフテキを食おうとしている。

  b.金融危機:銀行・証券会社の大デタラメ(不良債権問題、金融音痴日本)
         トリプル安(円安、株安、金利安)、貸渋り
  c.企業倒産・合併・統合、企業空洞化、リストラと失業率増加、貧富格差
    拡大
  d.政治の危機:政党政治の危機(政治家腐敗、官僚独裁政治、政治屋の合
          従連衡)、金権政治、政治能力の喪失など
      ※政治の行政化、行政の政治化!! 同じアナのムジナで大でたらめ。
  e.行政の危機
      ※官僚の腐敗とMandarin syndrome(「北京大官」症候群)の蔓延
       「北京大官」:(中国の清朝時代に)極端に官僚主義に染まった
              役人
        行動の特徴:不決断、不作為、無為無策、責任回避、会議好き
    ・進まない行政改革:官僚と政治家の日本私物化(特殊法人とそれにぶ
     ら下がる天下り公益法人の人事・経理上の大デタラメ)、既得権益を
     死守するための規制強化、官僚組織の維持強化、族議員による行革潰
     し、地方分権推進の困難(新藤宗幸著「地方分権」、岩波書店)など
    ・情報非公開、情報隠匿、情報操作、言論統制、総無責任体制
    ・個人情報保護法(案)、住民基本台帳、改正自衛隊法(案)の運用の
     危険性--->国民保護法制のアナ(--->国家総動員法(1940年)の復活)
  f.人口、社会、家族構造の変化
    イ.高齢化社会の到来
    ロ.少子化 --->日本の収縮
             (古田隆彦氏著『日本はなぜ縮んでゆくのか』)
    ハ.核家族化:大家族の崩壊
  g.犯罪の低年齢化:子供の心は5歳までにヒビが入り10歳までに壊される。
            「忍耐・努力・勤勉」を知らない子どもたち
  h.義務教育の限界:ゆき過ぎた「自由・人権・平等」思想による破綻
            歪んだゆとり教育による、学生の学力の著しい低下
  i.工業・生産業の技術力低下。基礎科学研究の壊滅、創造力の喪失など
  j.社会保障の危機(福祉国家の限界-->下記(5.c)を参照)
    イ.日本の防衛問題:日米安全保障条約(日米防衛協力ガイドライン
       の問題、沖縄基地問題など)、北朝鮮問題、防衛産業の寡占化
       (私物化)と不透明な経理(防衛予算4兆9000億円の使いみちの
       問題)
    ロ.国民医療費の問題:医療に関係ない部分で浪費が多い
    ハ.年金保障の問題:若い世代の負担が重すぎる。
       現在約3000万人が30兆円の年金を受け取っている。
  k.国家全体の無防備性(危機管理の退廃状態)
     国家の使命は「国民の生命と健康と財産を守ること」に尽きる。日本
    という国家は現在この何れも遂行できなくなっているのではないのだろ
    うか。
    イ.阪神大震災(「不作為責任」という大罪)
      ・何故災害情報が遅れたか
      ・自衛隊出動はなぜ遅かったか
      ・内閣総理大臣が指揮する緊急災害対策本部(災害対策基本法
       第107条)は、なぜ設置されなかったか。
      ・ヘリコプターなどによる化学消化剤の散布がなぜ行われなかった
       のか。
      ・延焼防止のための破壊消防(消防法第29条)はなぜなされなかっ
       たか。
    ロ.オウム事件
    ハ.薬害エイズ問題
    ニ.動燃の事故隠し:起こって欲しくないものは起きないと信じる。
       もし起こったら隠し通す。(原子力産業の無駄と危険性を正しく
       認識する必要がある)。
    ホ.ペルー大使館人質事件
    ヘ.日本人の北朝鮮による拉致疑惑、北朝鮮核ミサイルの問題
      (日本は北朝鮮のアメリカに対する人質であり、アメリカの防波堤
      である)
    ト.スパイ天国「日本」・・・・・等々いっぱいある。
  l.食料危機:自給率の減少(穀物自給率約30%)
         (ヨーロッパ連合は126%と食料危機に備えている)
  m.国際貢献の問題
    イ.自衛隊海外派遣問題(丸腰同然の恰好で海外派遣など言語道断)
    ロ.ODA海外援助、IMFへの資金投入(不透明な使い方で問題が多い)
    ハ.海外協力隊員、国連監視活動参加者の生命の危険性
      (情報収集能力の欠如と危険認識の甘さを指摘せざるをえない)
  n.いまだに引きずっている戦争責任と国家賠償の問題

4.個人の危機:「生・老・病・死」の問題
  a.生=生活の維持(社会保障(医療保険、失業保険)の問題など)
      生き方の問題(精神的問題、哲学的問題など)、思想・・・。
      「国家と国民の命」の問題
  b.老=健康の維持、社会保障(特に老齢年金)の問題、(介護の問題)
  c.病=精神的苦痛、肉体的苦痛、経済的問題(医療費など社会保障の
      あり方)、介護の問題。未知の病原体、プリオン病、伝染病など
      ・成人病の4大原因:高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、
                喫煙
  d.死=「命は有限である」ことの確認
      「命の長さと限界は誰が決めるのか?」という問題

5.日本の民主主義の危機の問題
  a.「茹で蛙」日本国民の「五ボケ」問題:生きることへの緊張感の欠如
    が原因
    イ.「平和ボケ」:平和は”不断の努力でやっと維持し得るもろい状
             態だ”ということを完全に忘れている。
    ロ.「長生ボケ」:命は無限とでも錯覚してるのだろうか?
    ハ.「権利ボケ」:世の中権利、権利の大合唱。卑しきものの増えた
             ことよ。
    ニ.「平等ボケ」:民主・自由を謳うならプロセス平等、結果不平等
             が当然。
    ホ.「思考ボケ」:思考力欠如。何がおこっているか分かろうと努力
             しない。
  b.憲法十五条第四項の問題:憲法による「普通選挙」の保証と「無責任」
    の保証
    「すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙
    人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない」。
  c.「官僚独裁国家」=「日本型社会主義国家」(=「福祉国家」)の弊害
    と欺瞞(以下、竹内靖雄氏著「『日本』の終わり」(日本経済新聞社)
    より)

     人は社会主義を好む。
      1)「持たざる人」は私有を廃止してすべてを共有することを望む。
       それによって「みんなのものは自分のもの」、従って自らがいく
       らかは「持てる人」になると思うからである。
      2)「持つ事すくない人」は国家が「持てる人」からたくさん取って、
       自分たちに再分配してくれることを期待する。
      3)「持てる人」だけは自分のものが取り上げられることを恐れて社
       会主義に反対する。しかし「持てる人」は極めて少ない。
     要するに人間は徹底して利己的であるために、他人や社会が自分に対
    して利他的で あることを望む。・・・・・社会主義者は他人が利他的
    であることを要求し、他人のカネを自分たちで使うことを期待している
    にすぎない。
     「資本主義か社会主義か」、あるいは「個人主義か社会主義か」と問
    われた時、社会主義の方を支持する気になれないのは、社会主義を支持
    する動機のこの「卑しさ」のゆえである。「福祉国家」はこの「卑しさ」
    を国家権力が代行することで正当化し、自己欺瞞に陥っている。
     福沢諭吉が、人間は自分で努力し、競争して生きるのが当たり前だと
    思っていた。その当たり前のことを、福沢諭吉から百年後の今、遅まき
    ながら始めることにしてはどうだろうか。

   ※「福祉を叫ぶ国家」は役人と政治家を太らせても、決して国民を幸せに
    することはできない。

6.参考:世界の軍事紛争(1998年から1999年の年越しの軍事紛争)
  a.国際紛争
   イ. アフリカ大陸
     ・スーダン対エチオピア
     ・スーダン対エリトリア
     ・エチオピア対ソマリア
     ・エリトリア対エチオピア
     ・スーダン対ウガンダ
     ・コンゴ対ルワンダ
   ロ. 中東および西南アジア
     ・キプロス
     ・アゼルバイジャン対アルメニア
     ・レバノン・シリア対イスラエル
     ・パレスチナ
     ・アメリカ・イギリス対イラク
     ・カシミール(インド対パキスタン)
  b.国内紛争
   イ. アフリカ大陸:アルジェリア、チャド、スーダン、ソマリア、
            ウガンダ、コンゴ、ルワンダ、ブルンジ、
            ギニア・ビサウ、ガンビア、アンゴラ
   ロ. 旧ソ覇権地域:コソボ、チェチェン、タジキスタン
   ハ. 中東および南西アジア:クルド(トルコ・イラク・イラン)
                アフガニスタン、セイロン
   ニ. 東南アジア:ミャンマー、カリマンタン、チモール、
           イリアン・ジャヤ
   ホ.中南米:コロンビア