第33話:【憲法改悪ーーー日本国憲法第九十九条改悪の怖ろしさ】
【憲法改悪ーーー日本国憲法第九十九条改悪の怖ろしさ】
安倍(時代錯誤)政権になって憲法改悪論議がやかましい。安倍一次政権のとき
と比べると、今回は憲法第九十六条を大幅に改悪しようと目論んでいる。この第
九十六条は憲法改定の手続きを示した条文で正確には以下のようである。

第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、
国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならな
い。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる
投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、
この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

筆者は日本の現平和憲法を一字一句変えてはならないと思っている。改定すれ
ばするほどそれは全て改悪になってしまうと思うからだ。
安倍(時代錯誤)政権はなぜこのすばらしい憲法をしきりに改悪しようと画策す
るのだろうか。それは自分たち権力者に現行の平和憲法が扱いにくくてたまらな
いからである。自衛隊を国防軍にしたい・集団的自衛権を確立したい・国民に憲
法を強制し守らせたい・国民に対して自由の一部なりとも制限したい・人権や生
存権の保障を多少なりとも軽んじたい等々、権力は被支配階級を権力者の思うが
ままに翻弄し篭絡し蹂躙したいと熱望しているのである。

 とても重要なことがある。被支配階級たる国民の殆どが知らないこと・支配階
級が国民に絶対に知らせたくないことがある。それは「日本と云う立憲民主制の
国家において日本国憲法を遵守し擁護する義務があるのは明確に権力側であって、
被支配階級たる国民には憲法を尊重したり憲法を擁護したり憲法に従う義務は規
定されてない」ということである。筆者は、通常は被支配階級にとっては憲法な
ぞ大して気にするものではないと解釈してきた。
 日本国憲法九十九条にはこう書いてある。

第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務
員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 ところが、今の日本の国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員の多くが
「この99条の条文に『国民』が抜けている」と、全く馬鹿げた暴論を吐き続け、
マスゴミもそれを言い募っている。
思うに99条はまことに立派な条文であって、立憲主義の正しい要請・正しい精
神を余す所なく表現し切っている。つまり「国民」の文言は誤って抜け落ちたも
のではなく、慎重にかつ正確に書き綴られた条文なのである。
 筆者は日本国憲法九十九条こそ至高の条文だと思っている。憲法改悪論者は、
改憲が容易くなればきっと真っ先にこの99条に「国民」を加えることで大きな憲
法改悪を遂行してしまうだろう。筆者はこのことが身震いするほど恐ろしい。
読者は下記の「改悪された憲法第九十六条・九十九条」を何度も精読し潜在す
る限りない恐怖を実感すべきである。

改悪・第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の二分の一以上
賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。
この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票にお
いて、その有効投票総数の過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法
と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

改悪・第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の
公務員およびその他全ての国民は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。
平成25年5月3日  鳥越恵治郎