◎血沈の意義・赤沈の意義・血沈亢進・血沈低下(遅延)・赤血球沈降速度・ESR
※血沈低下(遅延)とは厳密にいえば 1 〜 3mm/一時間 である。
※とりあえず循環血漿量が増加すれば血沈は亢進する。(但し以下の★結論を参照)
※循環血漿量が増加する二大状態(鬱血性心不全・妊娠)では血沈の動きは全く異なる。
つまり鬱血性心不全では遅延し(詳しくは以下 (4) 参照)、妊娠では亢進(フィブリ
ノーゲン増加のため)する。(1). 赤血球に関する原因:全血液量(全血漿量 + 全赤血球量)と血沈の関係として捉える
全血液量の制御要因
a. 心血管系要因:心拍出量・血圧・血管径・血管透過性等
b. ホルモン:心房性 Na 利尿ペプチド・アルドステロン・ADH
c. 腎機能
赤血球量の制御要因
a. 骨髄造血障害(全血漿量は増加・血沈亢進)
b. 真正赤血球増加症(全血漿量は増加・血沈低下)(2). 血漿蛋白に関する原因
a. 異常蛋白血症(全血漿量は増加・血沈亢進)
b. 栄養状態や疾患に由来する血漿蛋白の増減
(全血漿量は増減不定・血沈も不定)
c. 特にフィブリノーゲン・α2 分画の増加(血沈亢進)★結論
循環血漿量が増加してもそれは根底にある病態を反映したものであり、血沈亢進を促す
様な高分子蛋白増加の場合は血沈は亢進するし、栄養状態が不良で蛋白分画濃度が全般
的に低値をとる様な場合は同時に貧血を伴っていても血沈は亢進しない。(今日では貧
血補正を行わない)妊娠では主にフィブリノーゲン増加のため血沈は亢進しやすい。(3). 血液希釈について
全赤血球量の増加(血液粘度の増加)時、全血液量の減少時(ショック・脱水・血液
濃縮)に治療で行う
※通常血液希釈状態では相対的に貧血状態と考えられ血沈は亢進する様に感じられるが、
血沈は低下(遅延)傾向となることもしばしばである。
a. 低分子デキストランは血沈低下的に作用。
b. 高分子デキストランは血沈亢進的に作用。(4). 鬱血性心不全
急性か慢性か、代償性か非代償性か、先天性心疾患があるか、感染の合併の有無、栄
養障害の合併の有無で血沈は変化
a. 先天性心疾患:二次性赤血球増加症を伴えば血沈低下傾向
b. 慢性経過で栄養障害の合併があり、肝臓の鬱血のため血漿蛋白産生が
低下して血沈は亢進しない方向に傾く
c. もちろん感染性心内膜炎を伴なえば血沈は亢進する★血沈は主に、(1). 血液の希釈や濃縮状態、(2). 全血液量(全血漿量+全赤血球量)の増
減、(3). 貧血の有無について考察するべきであるが、◇栄養障害の合併、◇感染の合併、
◇基礎疾患による修飾、◇妊娠、◇治療による修飾等各種病態を考慮して判断すべきもの
である。
◎検査上の注意事項・覚えておきたい重要事項
◇筋肉質ならクレアチニンが軽度 ↑ していてもよい
◇ZTT↑:心不全・腎不全・癌に注意( IgG 増加を反映、Al↓・gl↑ の時)
採血後低下傾向あり
◇TTT↑:糖尿病・アルコール性肝障害・(高脂血症 = リポ蛋白増加を反映)
( IgG ・IgM 増加・ Al↓ を反映)
◇ZTT と TTT の解離:骨髄腫の可能性
◇小児の脂質:T-Ch は 170mg↓( 220mg↑ は絶対異常)
◇Girbert's 病:空腹で Y-bil↑
◇T-Ch↑ の時:膵・胆道系癌;乳癌;肺癌;大腸癌をも考えること
◇ChE↑ の時 :乳癌;肺癌をも考えること
◇妊娠でLAP↑
◇DM で LDH↑
◇LDH↑:採血時の溶血(この場合 GOT も高くなる、間接ビリルビンも高くなる。
但し肝臓のビリルビン処理が速やかであれば、間接ビリルビンが正常
であっても溶血を否定出来ない。この時はハプトグロビン(↓する)
や網赤血球を測定する)
◇ASO 偽陽性:高脂血症・高コレステロール血症・ネフローゼ症候群・閉塞性黄疸
高 γ-gl 血症(骨髄腫も含む)、高リポ蛋白血症に注意。
◇GOT と GPT について
(1). アルコール性肝障害では一般に GOT > GPT である。
(アルコール性肝障害:脂肪肝・肝線維症・アルコール性肝炎・肝硬変)
アルコール性肝炎ではGOT / GPT > 2 であることが多いが脂肪肝では少ない
禁酒すると γ-GTP よりはやく GOT・GPT が低下する。
(2). 他に GOT > GPT を示すのは急性肝炎の極期・劇症肝炎・肝硬変・肝癌
(3). 肥満や糖尿病に伴う脂肪肝では GOT < GPT で ChE も高値を示す。
(アルコール性肝障害の場合は ChE は高値を取らない)
(4).甲状腺機能低下症では GOT >> GPT のことが多い(同時に CPK・LDH も高値)
◎リウマトイド因子 (RF) 出現率
- 陽性 陰性 合計 陽性率 RA 86 22 108 79.6% リウマチ熱 19 94 113 16.8% SLE 13 32 45 28.9% PSS 7 7 14 50.0% 肝硬変 57 49 106 53.8% 慢性肝炎 29 50 79 36.7% 急性肝炎 24 59 83 28.9% 肝癌 5 13 18 27.8% 結核 15 141 156 9.6% 変形性関節障 9 80 89 10.1% 健常人 1 327 328 0.3%
◎溶血と検査値の異常
○LDH・GOT・アルドラーゼ・クレアチンは著明に上昇
○尿酸はごく僅か上昇
○GPT ・CPK ・尿素・クレアチニンは殆ど影響を受けない
○血液の保存は冷蔵では溶血がなくても LDH・K が上昇するので室温保存がいい。
○LDH- アイソザイムは赤血球由来の II 型増加。CPK- アイソザイムには影響なし
◎ZTT・TTT の臨床的意義
※注意:ZTT や TTT は食餌の影響を受ける(乳縻の影響)
A. TTT の臨床的意義(リポ蛋白や IgM 等の免疫グロブリンとの相関傾向)
(1). TTT↑を伴う肝疾患
1. (特にウイルス性)肝炎
2. (特に壊死後性)肝硬変
3. 感染を伴う長期にわたる肝外胆汁鬱滞
4. アルコール性肝障害
(2). 肝疾患以外で TTT↑
1. 高脂血症・糖尿病・アルコール性心筋症
2. 膠原病、特に RA 。自己免疫疾患(橋本病など)
3. 消化管異常
4. γ-gl 異常を伴う炎症性疾患
5. IMN
6. カラアザール、マラリア、その他の熱帯性疾患
(3). 肝疾患で TTT↑のみ
1. 無黄疸性肝炎
2. 長期化した肝炎もしくは回復期
(4). 瀰満性肝疾患で TTT が度々正常値を示す
1. 肝外又は肝内胆汁鬱滞
2. 肝硬変(黄疸は無関係)
3. 脂肪肝
4. 中毒性肝炎
5. アルコール性肝障害B. ZTT の臨床的意義(γ-グロブリンと強い相関)
(1). ZTT↑を伴う肝疾患
1. (特に壊死後性)肝硬変
2. 遷延性肝炎
3. 感染を伴う長期にわたる肝外胆汁鬱滞
4. HCC
(2). 肝疾患以外で ZTT↑
1. 慢性炎症、結核、梅毒
2. 膠原病。自己免疫疾患(橋本病など)
3. 骨髄腫
4. サルコイドーシス
5. カラアザール、マラリア、その他の熱帯性疾患
6. 癌、ホジキン病(但し不定)
(3). 肝疾患で ZTT↑のみ
1. 無黄疸性肝硬変
2. 肝炎から肝硬変への移行期
(4). 瀰満性肝疾患で ZTT が度々正常値を示す
1. 急性肝炎
2. 肝外、肝内胆汁鬱滞
3. 肝アミロイドーシス
(5). ZTT が正常か低下している黄疸
1. 肝外、肝内胆汁鬱滞
2. 溶血性黄疸
3. 家族性非溶血性黄疸※ CH・LC の証拠なく ZTT↑かつ TTT↑の場合ありその時は以下の事を考える
(1). r-gl↑・Pt↓があればやはり肝障害をもう一度考える(非B非C型慢性肝炎等)。
(2). 特に橋本病等、症状の出にくい膠原病を考える。
その他、(非)感染性慢性炎症も考える。
(3). M- 蛋白があればそれなりに鑑別診断をする
IgG 骨髄腫:ZTT↑・TTT→ 〜↓
IgA・非分泌型・BJP 骨髄腫
:ZTT も TTT も → 〜 ↓ (ZTT x TTT ≦ 0.4 )
(4). 糖尿病 + 腎障害、高脂血症 = リポ蛋白増加、
アルコール性心筋症等、特殊状態を考える。
(5). 悪性腫瘍の存在( HCC・RCC・卵巣癌他)を考える。※注意:ZTT や TTT は食餌の影響を受ける(乳縻の影響)
※軽度貧血とZTT ・TTT 高値を示す病態(NIS. No.3776 (H8/9/7). P109)
慢性肝疾患以外に膠原病・慢性感染症・MM 等クローン性 γ- グロブリン血症
サルコイドーシス・悪性腫瘍(リンパ腫も含む)を先ず考える。
◇必要な検査:胸部レ線・ツ反応・抗核抗体(自己抗体)・ESR・RA・ASLO
骨髄像・血清蛋白分画・B-J 蛋白(尿検査)
◇悪性腫瘍の検索:検便・婦人科・泌尿器科・消化管検査・胸部レ線・CT・エコー
アミラーゼアイソザイム等( P型が優位なら精査)
(以上の検査で異常なしなら、病的意義は少ない)
◎ChE(コリンエステラーゼ)の意義
(1). ChE が高値を示す時
ネフローゼ症候群 (80%)
脂肪肝 (60 〜 70%)
DM(肥満あり:65%・肥満なし:10%)
肥満(DM なし:40%)
甲状腺機能亢進症 (30%)
MG(重症筋無力症)(40%)
(2). ChE が低値を示す時
肝硬変(重症:100%・中等 〜 軽症:60 〜 70%)
子宮筋腫 (90%)
閉塞性黄疸(悪性:90%・良性:35%)
急性感染症 (80%)
悪性腫瘍全般(原発、病期により違う:30 〜 90%;
DM が元々あれば高値のことあり)★特に乳癌(肥満との関係)・大腸癌(コレステロール高値 = 遺伝傾向)
肺癌では ChE が高値を示すことがある)
急性肝炎 (70%・重症度により変化)
貧血・白血病・リンパ腫 (60 〜 75%)
妊娠中毒症 (70%)
慢性心不全 (60%)
肺結核(慢性感染症:30%)
甲状腺機能低下症 (30%)
慢性腎不全 (10%)(ネフローゼがあれば変化する)※ChE は原因は何であれ、A/G 低下・貧血・低蛋白・低アルブミン・栄養状態不良を引き
起こす病態(老化現象も含む)で低値を示すことが多い。ただし詳しい原因不明ではあ
るが、肺癌・大腸癌・膵臓癌・乳癌・胆道系の癌では基礎疾患としての肥満・高脂血症・
DM や癌に誘発されるネフローゼ(肺癌・血液系悪性腫瘍等で発症)のために、時々 ChE
が正常上限 〜 高値を呈することがある。(※の一部は私見)
◎血尿と試験紙法による尿潜血反応
◇沈渣の赤血球 0:56.5% が潜血反応 (-) で
一致率は 79.6% (+− は − とする)
◇潜血反応 (-):96.9% は赤血球 0 = 一致率:74.1%
◇潜血反応 (-) なら一応血尿を否定(スクリーニング程度)
潜血反応の強度は赤血球の数と相関しない
◇浸透圧で赤血球が壊れるような尿が排出されることはない
◇赤血球 (+) で潜血反応 (-):試験紙の劣化・ビタミンC・粘液成分高度な尿
◇赤血球 (-) で潜血反応 (+):放置尿・変形赤血球・ヘモグロビン尿
ミオグロビン尿・精液混入・上皮細胞多量混入※横紋筋融解症では潜血反応 (+) でも沈渣は赤血球 (-) であることを覚えておく。
◎LDH アイソザイムと ALP アイソザイム(LDH-isozyme・ALP-isozyme)
1. LDH アイソザイム(LDH-isozyme)
ー LDH / GOT ≦ 3 3 < LDH / GOT < 20 LDH / GOT ≧ 20 I・II型増加 ー 心筋由来(心筋梗塞)
骨格筋由来(PMD 等)
腎臓由来(腎梗塞等)赤血球由来
(溶血・ 溶血性貧血)
(悪性貧血)
腫瘍由来
(神経芽・奇形腫等)II・III型増加 ー 白血球由来
(白血球増多症)
リンパ腫
消化管腫瘍・
骨腫瘍(転移も)白血病細胞由来
(骨髄性)
リンパ腫・血小板増加IV・V型増加
及び V型増加肝臓由来
(肝炎等)
(V型 >> IV型)骨格筋由来(筋炎等)
皮膚由来(皮膚炎等)
平滑筋由来
(潰瘍性大腸炎等)
腫瘍由来(子宮癌等)悪性腫瘍由来
※なお III型増加は悪性腫瘍・肺梗塞・急性膵炎でも生ずる。2. ALP アイソザイム(ALP-isozyme)
I・II型:肝臓由来(毛細胆管由来)
(1). 高分子(I型・AlP1 ・α1(β1))
:胆道系閉塞疾患・薬物性肝炎肝臓癌 (α1-carcinofetal ALP)
(2). 低分子(II型・AlP2 ・α2) :薬物誘導
※進行胃癌の骨転移や脳髄膜癌腫症ではむしろ肝型 ALP がより多く増加。III型:骨由来(AlP3 ・α2β)(骨芽細胞由来)
(1). 健康な子供
(2). 腫瘍の骨転移(腎型 ALP との区別は困難、むしろ肝型 ALP が増加)
(3). 甲状腺機能亢進症
(4). 副甲状腺機能亢進症・クル病
(5). 慢性腎不全(骨型 ALP との区別は困難)
※ウィルソン病では骨型 ALP 活性が特異的に失活する。IV型:胎盤由来(AlP4 ・α2βsharp)
妊娠(合胞体栄養細胞)
※肺癌等で検出される Nagao-isozyme。
※癌組織・生殖器官・肺胞組織で発現。健常な喫煙者でも有意に増加。V型:小腸由来(AlP5 ・β)(粘膜上皮由来)
(1). 肝硬変・慢性肝炎
※肝癌で肝型 ALP とは性質の異なる酵素バリアントとして発見。
※健常ヒト腎臓・膵臓・肝臓、糖尿病、腎障害、低フォスファターゼ血症等。
(2). 食後(血液型 O・B型では小腸由来 ALP がやや高い、高脂肪食で
1.5 〜 2倍になる)
◎酵素結合性免疫グロブリン(特に高 LDH 血症)への対応
(1). LDH を利用した酵素診断が不可能になるので対応を考える。
筋疾患では GOT (AST) や CPK 等他の酵素を利用、肝疾患では GOT
GPT を利用。但し、悪性腫瘍では変わるものがなく腫瘍マーカー等で考察。
(2). 酵素活性上昇を病態と考えぬこと。
IgA 結合例では持続性かつ比較的高値。IgG 結合例では基準値上限の
1.5 〜 2倍程度であり、消長を繰り返すことを念頭に入れて、LDH 上昇が異常
なものでないことを再確認。
(3). 要因の有無を考える。
a. まず、成因は不明であることを念頭におく。
b. IgG 結合例では薬物の投与、投与歴と関係することが経験的に知られている。
抗生剤等比較的大量投与薬剤、抗甲状腺剤などに注目する。
c. ALP 結合性免疫グロブリンでは潰瘍性大腸炎の存在が問題視された如く背景に
自己免疫疾患の存在する可能性は(明かではないが)ある。
従って抗核抗体・抗DNA抗体・RF 等の存在を検索する必要性はある。※治療、予後について
疾患として治療する必要はない。この酵素結合性免疫グロブリンを消失させる方法
も不明。予後も不明。故に放置して経過観察すればよい。
但し半年に一度くらいは消長確認のため酵素測定、アイソザイム分析の必要。
マクロアミラーゼ血症でも同様に問題となるが、膵炎と関係なく、誤診に注意。
◎ACE(angiotensin-converting enzyme)の上昇疾患の鑑別
(1). 若い人
(2). サルコイドーシス
(3). 甲状腺機能亢進症
(4). 糖尿病
(5). 感染症
イ. HIV 感染
ロ. ライ病(leprosy)・結核
ハ. コクシジオイドマイコーシス(coccidioidomycosis)
ヒストプラスモーシス(histoplasmosis)
(6). アミロイドーシス(amyloidosis)
(7). リンパ腫
(8). 悪性組織球症
(9). PBC(primary biliary cirrhosis)
(10). その他:ウイップル(Whipple's disease)・ゴーシェ(Gaucher's disease)
◎単純 X線診断の知識・単純レ線診断(特に骨レ線診断)
1. 痛風:asymmetrical periarticular swelling(非対称性の関節周囲の腫脹)
a. 骨レ線変化は1/3の症例に生じるのみである。
b. 尿酸Na結晶が関節内外に沈着して、その周囲に肉芽組織やパンヌスが形成
され隣接した組織を破壊吸収しながら拡大してゆく。
(※パンヌス(外套膜、mantle):血管が極めて豊富な炎症性の滑液膜は二重
になり関節軟骨の表面を覆っている、これをパンヌスという。)
c. 周囲の軟部組織の腫脹及び、軟部組織に斑点状に点在する石灰化陰影。
d. 傍関節(juxta-articular)に沈着した尿酸 Na結晶は "punched-out" 像を呈す。
e. 関節内に小さい骨棘の形成(small spur formation)。
f. 一次性の痛風性関節炎と二次性のものはレ線上鑑別不能である。
(二次性:blood dyscrasia、bone marrow disorder、von Gierke、uremia等)
※偽痛風:痛風と関係なし、Ca 代謝と関係。ピロ燐酸 Ca が関節軟骨とメニスクスに
沈着し、軟骨細胞壊死・軟骨変性・石灰化(Ca 沈着)を起こす。2. 慢性関節リウマチ(RA)・若年性関節リウマチ(JRA)
イ. 手指の単純レ線診断(Meshan:Analisis of Rentogen Signs in General
Radiology.Saundars、P.406)
a. small juxta-articular pseudocystic areas of subchondral bone
absorption
b. soft tissue thichened and swallen
c. small joints narrowed due to pannus absorption of cartilage
d. fingers deformed.contracture deformity of finger
e. bones markedly osteoporotic
f. osteoporosis most marked at bases and head of bones
ロ. 若年性関節リウマチのレ線診断
a. periarticular soft tissue swelling
b. local osteoporosis
c. periosteal thickning adjoining the joints involved
d. cortical erosion
e. destruction of joint cartilage and bone (late)
f. grouth disturbances:accerelated skeretal maturation,enlargement
and balooning of epiphyses,compression fractures of epiphyseal
centers, decrease in width of shaft and osteoporosis
g. spondylitis is frequent,generally upper cervical,with ankylosis of
apophseal joints. Paraspinous ossification is rare as in sacroiliac
involvement.
h. Occasionally there are subluxations with an overgrowth of adjoining
margins of the bone ,resembling the overgrowth which occurs in the
shelving portion of the acetabulum.
◎便潜血反応陽性時の検査の進め方
1. 便潜血反応陽性の原因疾患
A. 消化管疾患
(1). 食道:食道炎・潰瘍・腫瘍・静脈瘤・Mallory-Weiss 症候群
(2). 胃・十二指腸:慢性消化性潰瘍・急性ストレス潰瘍・びらん性胃炎
再発潰瘍・良性腫瘍・悪性腫瘍・食道裂孔ヘルニア
(3). 小腸:クローン病・メッケル憩室
(4). 大腸・肛門:痔・痔瘻・ポリープ・癌・憩室(症)・憩室炎
炎症性腸疾患(クローン・潰瘍性大腸炎・結核・放射線腸炎中毒性腸炎)
虚血性腸炎・偽膜性腸炎・感染性腸炎
(5). その他:膵炎・肝膿瘍・胆石・外傷・血胆汁瘻
B. 全身性疾患
(1). 全身性疾患:全身感染症・膠原病・尿毒症
(2). 血液疾患:低トロンビン血症・白血病・リンパ腫・紫斑病
(3). 血管疾患:Weber-Rendu-Osler 病・腸間膜動脈閉塞症・動静脈奇形
C. その他
鼻腔・口腔・咽頭よりの出血2. 原因疾患の頻度
a. 便潜血反応陽性者では 16.7% に何らかの大腸疾患を認める。
b. 癌発見率は 1.25% で 90% は早期癌。隆起型で陽性率が高く大きさでは
10mm 以上で陽性率が高くなる傾向。
c. 陥凹型早期癌は殆ど陰性。
d. 良性腺腫は 12.8% に認めた。
e. 進行癌でも陰性の症例があり、便通異常や腹部症状が頑固な場合、家族歴陽性
なら率先してCFを施行すべきである。
f. 注腸は微小病変や陥凹型早期癌・側方発育腫瘍を見落とし易い。
h. 結論として便潜血反応は進行癌や隆起型早期癌のマススクリーニングとしては
有用であるが表面型・陥凹型早期癌の指標としては問題が多い。
◎高齢者・高齢・老化現象に伴う検査値の変化・検査値の男女差
◇意義不明のM蛋白血症(MGUS)をみることがある
◇ALP・LDH:女性で上昇傾向
◇ZTT・ch-E・Hb はセットで正常範囲をやや逸脱する傾向あり。総蛋白は不変
(これについて H7/9月現在考慮中であるが老化現象・心不全・胃切除後・慢性炎
症性疾患・慢性肝炎・貧血等を考えている)
◇BUN は僅かに上昇傾向(原因の一部は脱水傾向)
◇尿酸は女性で上昇傾向
◇総コレステロールはわずかに減少傾向、女性は男性より 20mg 程度高い
◇総蛋白は変化しない(次第に低下すると言われているが、脱水傾向のため必ずしも
そうではないと小生は思っている)
◇骨粗鬆症と Hb:正常対照 = 12.6 ± 1.15 (g/dl)、骨粗鬆症 = 11.4 ± 1.2 (g/dl)
◇胃粘膜萎縮と Hb:正常対照 = 13.5 ± 0.3 (g/dl)、胃粘膜萎縮 = 12.6 ± 0.2 (g/dl)
◇BUN・Cr とHb は負の相関、T4 と HB は正の相関をする。(同上)
◇老年者貧血の基礎疾患(東京都老人医療センター改編・悪性腫瘍は 1/4 から 1/3)
悪性腫瘍 (25%) > 感染症 (15%) > 骨折 (10%) > 消化管出血(悪性腫瘍を除く)(5%)
> 血液疾患 (5%) > 感染症以外の炎症性疾患 (5%) > 腎疾患 (5%)
> 肝硬変症 (2%) > 甲状腺機能低下症 (2%) > 消化管ポリープ (1%) > 痔 (1%)
> その他(24.0%:抗生剤・鎮痛剤・H2 ブロッカー・アルドメット等)
◎利尿剤投与と高尿酸血症、BUN・クレアチニンの増加
1. 利尿剤投与と BUN・クレアチニンの増加
利尿剤投与 --> 循環血漿量減少 --> 糸球体濾過量の減少が主たる原因2. 利尿剤投与と高尿酸血症 (特にループ利尿剤、サイアザイド系利尿剤)
a. 利尿による循環血漿量減少 --> 糸球体濾過量の減少で尿細管からの尿再吸
収増大
b. 利尿剤による尿細管からの尿酸分泌輸送系に対する競合3. 利尿剤による高尿酸血症の治療
a. 痛風や尿路結石が存在しなければ治療の必要はない。あれば減量や中止。
b. 中止出来ない時はアロプリノールの併用
c. プロベネシッドは近医尿細管での有機酸の輸送を抑制し、ループ利尿剤、
サイアザイド系利尿剤の尿細管分泌抑制を来して利尿作用減弱に働くので
併用は避けるべきだ
d. 利尿剤の減量や中止目的で ACE インヒビターを使う時があるが急激な血
圧低下に注意。4. その他利尿剤の副作用:心不全の増悪、低カリウム血症、低マグネシウム血
症、脱水にともなう虚血性血管造影障害に注意。
◎γGTP 活性が異常を示す病態ないし疾患
1. 200 IU/L 以上の著明な上昇
a. 胆汁鬱滞 (ビリルビン高値時にはむしろ低下)
肝内胆汁鬱滞 (ウイルス性及び薬剤性)
肝外胆汁鬱滞
胆汁性肝硬変
b. アルコール性肝障害
アルコール性肝炎
非特異的反応ないし肝線維症
アルコール性肝硬変
c. 特発性高γGTP 血症2. 200IU/L までの中等度の上昇
a. 急性ウイルス性肝炎 (特に胆汁鬱滞型)
b. 慢性肝炎
c. 肝硬変 (アルコール性、胆汁性を除く)
d. 無黄疸性胆汁鬱滞 (主に薬剤性;腫瘍・結石などによる胆管の部分閉塞、
不完全閉塞 = 他の胆道系酵素の上昇を伴う)
e. アルコール、薬剤による誘導 (通常他の胆道系酵素の上昇を伴わない)
f. 胆嚢炎・胆管炎。膵炎で上昇する場合もあり3. 正常値の上限を越える僅かな上昇
a. 脂肪肝ないし肥満
b. 心筋梗塞、鬱血性心不全、糖尿病
c. "2. " に示す病変の軽度の場合4. 低下傾向を示す場合
a. 妊娠や経口避妊薬による胆汁鬱滞
b. 先天性低γGTP 血症 (グルタチオン代謝異常あり)
c. 男性に対し女性が低値
◎老人性貧血
:高齢者で、進行せず原因不明の貧血。高齢者の貧血の10% 程度。
※正確なメカニズムは不明。1. 骨髄の細胞は密度・分布ともに低下。
2. 血清鉄は男女とも低下。また鉄結合能も低下。
3. 血清フェリチンは男女とも若年者に比べ増加。
4. 鉄の吸収は正常だが鉄の利用能の低下。
5. 血清エリスロポエチン値は貧血のない健康な高齢者では一般成人と差を認
めない。また高齢者でも Hb と血清エリスロポエチン値は逆相関し (正常
反応) その反応性も若年者と同様で鉄欠乏性貧血時には貧血の程度に応じ
てエリスロポエチンが上昇する。6. 赤血球の浸透圧脆弱性が増加。
7. MCV が増加して、MCHC はやや低下。
◎BUN/クレアチニン (BUN/Cr) 比について (参考程度のもの)
※正常では BUN/Cr はほぼ10 である。
1. BUN/Cr >10
a. 消化管出血
:窒素源の増大
b. 腎機能低下時高蛋白摂取
:蛋白質価の増大
c. 蛋白異化亢進、熱傷・発熱・消耗性疾患
:窒素源の増大
d. 大量副腎皮質ステロイド、テトラサイクリン投与
:薬剤による蛋白同化作用の阻害
e. 脱水、重症心不全、大量体外出血
:尿素再吸収の増大
f. 尿路閉塞、尿管直腸吻合
:尿素再吸収の増大2. BUN/Cr <10
a. 腎機能低下軽度時必要以上の蛋白制限
:窒素源の低下
b. 透析施行後
:BUN の除去率が増加
c. 重症肝障害
:尿素生成の低下
d. 妊娠
:循環血漿量、GFR の増大
e. 横紋筋融解症
:Cr 生成の増大
◎白血球減少を伴う疾患と頻度
※好中球減少症が最も頻度が高く、他の血球が単独で減少することは稀であ
る。
a. 急性のものではウイルス感染によることが多い、
b. 重症のものでは無顆粒球症があるが、これは薬剤が原因となることが多
い。
c. 慢性的なものでは再生不良性貧血と MDS の鑑別が重要である。
d. 白血病でも末梢血で白血球減少を示すことがしばしばあり、また骨髄で低
形成を示すことも稀にあるので注意が必要である。1. 好中球減少症 (1,500/mm 以下)
a. 感染症
・細菌:粟粒結核や敗血症などの重症感染症、腸チフス、パラチフス、野
兎病ブルセラ症
・ウイルス:麻疹、風疹、インフルエンザ、ウイルス性肝炎、伝染性単核
球症
・原虫 (マラリア、カラアザール)
・リケッチア
b. 血液疾患
再生不良性貧血、MDS 、周期性好中球減少症、発作性夜間血色素尿症、
急性白血病、慢性リンパ性白血病、巨赤芽球性貧血
c. 薬剤によるもの
感受性のある個体に好中球減少を起こすものや細胞障害作用のある薬剤
(アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍性抗生物質、植物アルカロイド、そ
の他)
d. 脾機能亢進症
肝硬変、Banti 症候群、Felty 症候群、Gaucher 病
e. 免疫学的機序によるもの
SLE 、慢性関節リウマチ、Felty 症候群、薬剤
f. 遺伝性、先天性、家族性のもの
周期性好中球減少症、Kostmann 症候群、家族性好中球減少症
g. その他
悪性腫瘍骨髄転移、放射線照射、アナフィラキシー、粘液水腫、栄養失調2. リンパ球減少症 (1,500/mm 以下) を伴う疾患について
a. 悪性腫瘍
b. 膠原病:SLE
c. 薬剤によるもの
抗癌剤、免疫抑制剤、抗リンパ球グロブリン製剤、副腎皮質ステロイド
d. その他
感染症、Hodgkin 病、先天性免疫不全症、尿毒症、放射線照射)※リンパ球数の減少の原因
a. 産生の低下
Wiskott-Aldrich 症候群などの免疫産生能低下を来す先天性疾患、癌の
末期、AIDS 、悪性リンパ腫など
b. 破壊の亢進
放射線照射、抗腫瘍剤、副腎皮質ステロイドなどの使用、ストレスや
Cushing 病などによる血中ステロイドの増加時
c. 腸管よりのリンパ喪失
炎症や腫瘍による腸管リンパ管の閉塞、重症右心不全による静脈圧亢進、
腸管リンパ管拡大など
d. その他
サルコイドーシスや紅斑性狠瘡、鞏皮症、重症筋無力症などの自己免疫疾
患、慢性および急性腎不全など注意:このうち最も頻度の高いものは悪性腫瘍および膠原病に伴うもので各々
の疾患の15 〜 40% に認める。悪性リンパ腫を含め悪性腫瘍 (特に肺小
細胞癌、乳癌、子宮癌) では病気の進行期に減少し、予後不良因子の1つ
である。注意:なお栄養状態が悪化するとリンパ球数も減少する。リンパ球減少時には
免疫能が低下しており、帯状疱疹、カリーニ肺炎などに罹患しやすい。※正常値
0 〜 6か月 : 5,500 〜 7,300/μl
〜 10歳 :次第に減少
10歳以上 :2,500 (1,500 〜 4,000)/μl3. 好酸球減少症
a. 副腎皮質ステロイド投与、Cushing 症候群
b. ストレス※鑑別のポイント
再検により白血球減少が確認された場合、骨髄穿刺により産生の低下か否か
を明らかにする。汎血球減少症を来す再生不良性貧血と MDS では、前者は
低形成で後者は過形成(特に赤芽球系過形成)を示す傾向がある.形態学的観察
も巨赤芽球性貧血や MDS の診断上重要であり、白血病細胞や悪性細胞の有
無にも注意する。
Dry tap の時や悪性腫瘍が疑われる場合は骨髄生検が必要である。
薬剤の関与が疑われる場合は中止して様子をみる。
◎異型リンパ球(Downey cell)を見たらa.ウイルス感染症
EB ウイルス、サイトメガロウイルス、肝炎ウイルス(A・B)、風疹、
ムンプス(水痘、コクサッキー、アデノ、ヘルペス等)
b.その他感染症
β-溶連菌感染、百日咳、梅毒、ブルセラ、リケッチャ感染症、トキソプ
ラスマ
c.ワクチン接種
d.薬物アレルギー、膠原病など
◎PT時間の表示についてイ.実際の値を表示(正常対照値を併記)
ロ.PT指数:正常対照PT時間/被検PT時間×100 (%)
ハ.PT比:被検PT時間/正常対照PT時間
ニ.希釈標準曲線に当てはめて活性%で示す
◎好酸球増多症(末梢血)
(NEJM.1998,338:1592-1599などより)a.感染症
特に寄生虫感染症、結核または梅毒、トキソプラスマ症、内臓ダニ症b.呼吸器疾患
喘息、好酸球性肺炎、カリーニ肺炎、じん肺症・珪肺症、過敏性肺臓炎、
特発性肺血鉄症c.消化器系
炎症性腸疾患、好酸球性胃腸炎、アレルギー性腸炎d.アレルギー性
アレルギー性鼻炎・結膜炎、喘息、湿疹、アレルギー性気管支、肺アスペ
ルギルス症、アレルギー性肉芽腫性血管炎、血管性浮腫・クインケ浮腫、
口腔粘膜アレルギー症候群、アレルギー性紫斑病(S-H紫斑病)e.全身性
特発性好酸球増加症候群、血管炎f.医原性
薬物反応、サイトカイン注入(e.g. 顆粒球-マクロファージ-CSF)、薬物
性(中毒性)腎障害、アレルギー性間質性腎炎(AIN)、中毒性表皮壊死
剥離症、薬剤反応性リンパ腫、eosinophilia-myalgia 症候群(tryptp-
han ingestionに伴う)
※注意:薬物性のものでも、中止後も好酸球増多が続くことがある。g.自己免疫疾患
慢性活動性肝炎(ルポイド肝炎)h.膠原病、類縁疾患
天庖瘡または類天庖瘡、サルコイドーシス、ウエジナー肉芽腫症(WG)
、悪性関節リウマチ、結節性多発性動脈炎(PN)、カプラン症候群i.悪性腫瘍
リンパ腫、大腸癌、菌状息肉腫症(Sezary症候群も含む)、軟部組織の肉
腫、癌性リンパ管症、傍悪性腫瘍症候群、ホジキン病、重鎖病、真性赤血
球増加症、成人T細胞性白血病、赤白血病、eosinophilic leukemiaj.その他
シャルマン症候群(好酸球性筋膜炎)、血清病、膠原性大腸炎、レフラー
好酸球性心内膜炎、木村病(リンパ組織増生を伴う異常肉芽腫)、アジソ
ン病、悪性貧血、多発性コレステロール塞栓症症候群、原発性免疫不全症
候群、紅皮症(剥脱性皮膚炎、基礎疾患に注意)、免疫芽球性リンパ節症
、全身性脂肪腫症、心筋梗塞後症候群、砒素中毒症、ランゲルハンス細胞
性組織球症、トルーサ・ハント症候群、巨赤芽球性貧血、ネフローゼ症候
群、腎動脈瘤、結節性腸管リンパ組織過形成症、コーガン症候群、empty
sella症候群、肝線維症、eosinophilic cellulitis(Well's syndrome)
◎尿中・血中ケトン体の上昇の原因
(生体が糖質よりむしろ脂質を利用している指標)1.糖尿病(インシュリン分泌低下)、高脂肪食
2.摂食低下
食欲不振、嘔気・嘔吐、絶食、消化器疾患など
3.ストレス反応
発熱、手術、外傷、運動
4.その他
糖原病、高グルカゴン血症、褐色細胞腫、つわり(妊娠悪疽)、心筋梗塞
など(グルカゴン、エピネフリン、ノルエピネフリン増加はケトン体の上
昇の原因)
◎各種疾患における血清鉄および鉄結合能の関係
血清鉄 総鉄結合能(TIBC) 不飽和鉄結合能(UIBC) ・鉄欠乏性貧血
・再生不良性貧血
・悪性貧血
・溶血性貧血
・慢性出血性貧血↓↓
↑↑
↑
やや↑〜やや↓
↓↓↑↑
→ or やや↓
→ or やや↓
→
↑↑↑
↓↓
やや↓
やや↑〜やや↓
↑・真性多血症
・感染性貧血
・悪性腫瘍に伴う貧血→ or やや↓
↓
↓↑
↓
↓↑
↓
↓・急性肝炎
・慢性肝炎
・肝硬変↑
→ or やや↑
→ or やや↑→ or やや↓
→ or やや↓
→ or やや↓↓
→ or やや↓
やや↓
◎補体検査と主な鑑別疾患(日内雑誌 2003;92(10):1959)
1. 血清CH50高値:RA、大型血管炎、妊娠、感染症
2. 血清CH50正常:正常
3. 血清CH50低値
1) C3正常
a) C4正常
・血漿CH50正常:cold activation
・血漿CH50低下:C3・C4以外の補体欠損症
b) C4低下:C1-inh欠損症、遺伝性または後天性血管神経性浮腫、C4欠損症
2) C3低下
a) C4正常:急性糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、血液透析、C3欠損症
b) C4低下:SLE、悪性関節リウマチ、慢性肝炎、肝硬変、DIC、MOF、アナフィラキシー
◎ CRP・赤沈異常と疾患(膠原病を中心として)(日内雑誌 2003;92(10):1913)
1. CRP
・正常:健常人、抗リン脂質抗体症候群、線維筋痛症、RA非活動期、SLE
ほか多くの膠原病の非活動期、かぜ症候群等軽微な感染症
・軽度高値:妊娠、喫煙、心筋梗塞、悪性腫瘍、ウイルス等による軽症感染症
SLE、PM/DM、PSS、RA(発症初期、軽症例)
・高値:感染症、心筋梗塞、悪性腫瘍、RA、Behcet、血管炎
・著明高値:細菌性髄膜炎、敗血症等重症感染症、急性膵炎、Castleman病
2. 赤沈
・正常/遅延:健常人、重症肝障害、DIC、真性多血症、脱水、無フイブリノ
ゲン血症、無γグロブリン血症
・軽度促進:妊娠・高齢者・多くの膠原病の非活動期
・促進:感染症、感染症等急性炎症回復期、貧血症、マクログロブリン血症
多発性骨髄腫、悪性腫瘍、クリオグロブリン血症、ネフローゼ症候群
SLE、RA、Sjogren、MCTD、PM/DM、リウマチ性多発筋痛症
・高度促進:重症感染症、血管炎、Behcet病、リウマチ性多発筋痛症
◎各疾患における鉄代謝マーカーの変動(日内雑誌 2003;92(10):1979)
Tf:トランスフェリン TfR:トランスフェリンレセプター
Hb S-Fe UIBC 血清フェリチン フェリチン鉄(飽和度) 血清(Tf) Tf鉄(飽和度) 血清(TfR) 鉄欠乏性貧血 ↓ ↓ ↑ ↓ ↓ ↑ ↓ ↑ ヘモクロマトーシス ↑ ↑↑ ↓ ↑ ↓↑ ↓ ↑↑ N↓ 急性肝炎 ↓ ↑ N↓ ↑ ↑ ↓ ↓(↑) (N) 悪性腫瘍 ↓ ↓ ↓ ↑ ↓ (↓) N 慢性炎症(RA) ↓ ↓ N↓ N↑ ↓↑ ↓ ↓ N↑ 成人Still病 ↓ N↓ N↓ ↑↑ ↓ ↓ ↑ マクロファージ
活性化症候群↓ ↓ ↓ ↑↑↑ ↓ ↓
◎高フェリチン血症をきたす疾患(日内雑誌 2003;92(10):1979)
1. 体内鉄過剰状態(細胞内鉄プール増加によるフェリチン産生・分泌亢進による)
・遺伝性ヘモクロマトーシス
・鉄過剰摂取(頻回の輸血)
2. 炎症に伴ったもの(サイトカイン刺激によるフェリチン産生・分泌亢進による)
・感染症
・膠原病
・悪性腫瘍の一部
・その他の炎症性疾患
3. 組織障害に伴ったもの(障害細胞からフェリチンが遊離)
・肝壊死
・悪性腫瘍の一部
◎蛍光抗体法による抗核抗体の染色型と対応抗原および関連疾患
(日内雑誌 2003;92(10):2003)
対応抗原 関連疾患
対応抗原 関連疾患 均質型
(homogeneous diffuse)DNA-ヒストン複合体
ヒストンSLE、PSS/SD、RA
薬剤誘発性ループス辺縁型
(peripheral or shaggy)二本鎖DNA SLE 微細斑紋型
(fine speckled)可溶性核抗原(Ul RNP,Sm
SS-B/La,Scl-70,Kuなど)SLE、MCTD、PSS/SD
Sjogren核小体型
(nucleolar)核小体抗原(U3 RNP,7-2RNP
RNAポリメラーゼ,PM-Sclなど)PSS/SD 離散斑紋型
(discrete speckled)セントロメア PSS/SD
(limited type,CREST)細胞周辺関連型
(cell cycle-rerated)細胞周期関連抗原
(PCNAなど)SLEなど 細胞質型
(cytoplasmic)リボソームP蛋白
ミトコンドリア
ゴルジ体
アミノアシル
tRNA合成酵素(Jo-1など)
シグナル認識粒子(SRP)
SLE
PBC
Sjogren
PM
PM
◎尿潜血が偽陽性となるもの(症候から診断へ第3集;2000年、p23、日本医師会)
1. 採尿後時間がたった尿
2. 低張尿
3. 酸化物の混入
4. ビタミンC、酸化物などを多く含む食事を摂取した場合
5. 膿尿、細菌尿
6. ヘモグロビン尿、ミオグロビン尿
7. 溶血
8. 月経中に採取した尿
9. 脱水
10. 早朝第1尿
11. 過度の運動
◎赤色尿の原因(症候から診断へ第3集;2000年、p23、日本医師会)
1. 血色素尿(暗赤褐色):溶血性貧血、赤血球代謝異常、異常ヘモグロビン血症
2. ミオグロビン尿(暗赤褐色):ミオグロビン尿症
3. ポルフイリン尿(ぶどう酒様暗赤色):ポルフイリン尿症、ポルフイリン症
4. ビリルビン尿症:溶血性貧血、肝障害、胆道閉塞、便秘
5. 薬物:緩下薬(薬物により赤褐色、ピンク色、橙色、赤色、黄褐色などさまざま)。
鎮痛・解熱薬(赤褐色)、ビタミン薬(橙赤色)
駆虫薬(橙色)、抗痙攣簗(ピンク〜赤〜赤褐色)
骨格筋弛緩薬(橙色〜紫赤色)、治癩薬(ピンク〜赤色)
尿路消毒薬(橙赤色〜赤褐色)、抗凝固薬(ピンク〜赤褐色)
6. 色素混入:エオジン、フクシン、PSP(phenolsulfonphthalein)
BSP(bromsulphalein)
7. 重金属:鉛(赤褐色)、水銀(赤褐色)
8. その他:ベンゼン(赤褐色)、ジニトロフェノール(赤褐色)、トリニトロ
トルエン(trinitroto山ene;TNT、赤褐色)
9. 濃縮尿(濃赤褐色):脱水、下痢、者明な発汗、発熱
◎尿色調異常とその原因(症候から診断へ第3集;2000年、p31、日本医師会)
1. 殆ど無色:尿崩症、糖尿病、腎不全
2. 黄~蛍光黄色:アドナ、ビタミン剤(リボフラビン、カロチンなど)
3. 黄~黄褐色:ビリルビン、ウロビリン
4. 赤~赤褐色:ヘモグロビン、ミオグロビン、ポルフイリン、メトヘモグロビン
・酸性尿において:アンチピリン、サルファ剤、ビート、尿酸
・アルカリ尿において:大黄、センナ、ソルベン、PSP、リファンピシン、フェノールフタレイン
5. 褐~黒色:メトヘモグロビン、メラニン、メチルドパ、L-dopa、アルカプトン、キニーネ
6. 緑色:ICG、緑膿菌、ビリルビン、食用色素(マラカイト緑)
7. 青色:エバンスブルー、メチレンブルー、インジゴカルミン
8. 乳白色:脂肪乳(乳縻尿)、膿尿(尿路感染症)
◎HbA1c(HbA1c)の偽高値、偽低値について(NIS 2004;No.4167:107などより)
※HbA1cは採血時より1~2か月前の血糖コントロール状態を反映
1. HbA1c偽高値
・アスピリン大量服用時
・アルコール多飲、慢性アルコール中毒(アセチル化Hbの存在)
・異常ヘモグロビン(陰性荷電のHb)の存在
・高ビリルビン血症
・乳び尿症
・腎不全(カルバミル化Hbの存在):同時に存在する貧血のため偽低値を呈する場合が多い。
2. HbA1c偽低値(-->グリコアルブミン等の他の指標を用いる)
・赤血球寿命短縮:溶血性貧血、大出血後
・妊娠
・肝硬変
・異常ヘモグロビン(陰性荷電のHb)の存在
・鉄剤投与、エリスロポエチン投与中
※血糖値とHbA1cの乖離についての補足(NIS 2004;No.4167:107)
・血糖値の変動が大きい場合は乖離があるようにみえる。
・胃切除後の症例では空腹時血糖が低い割には食後血糖が高く、食後血糖のみ
を指標にしているとHbA1cが低くみえる。
・血糖降下剤を使っている時は食後血糖が薬剤で下がる為、HbA1cが高くみえる時がある。
・肝硬変、腎不全、貧血ではその影響を受けないグリコアルブミンを測定する。
・グリコアルブミンは甲状腺機能異常やネフローゼなど、血中アルブミンの代謝
半減期が変化する病態では指標として使えない。
◎パルスオキシメータで酸素飽和度が低下する原因(NEJM 2004:351:382)
1. 低酸素血症
2. 異常ヘモグロビン変異体(abnormal hemoglobin variants)
3. メトヘモグロビン血症
4. サルフヘモグロビン血症
5. 血管内染料(メチレンブルー、インドシアニングリーンなど)
6. 青の爪磨きのいくつかのもの
7. 静脈拍動の亢進
8. 周囲の光に影響された測定不良状態
◎随時尿から1日尿蛋白排泄量を推測する(尿蛋白/尿Cr比のすすめ)
高血圧、糖尿病の増加もあり、末期腎不全に進行しうる慢性腎疾患患者の増加は
世界的な問題です。腎臓内科を専門としない医師でも、日常診療で患者が腎疾患を
持っていないかを常に注意する必要があります。持続的な蛋白尿は将来腎不全に進
行する危険因子です。通常の試験紙法で尿蛋白が陽性ならばその程度を推測し、必
要なら専門医に相談してください。1日蓄尿による尿蛋白定量は患者にとっても煩雑
です。むしろ外来尿の尿蛋白定量と尿Cr定量の比をとる尿蛋白/Cr比をルーチン検
査に取り入れることを勧めたいと思います。この比は蓄尿による蛋白尿量によく近
似します。正確には1日尿蛋白量=(尿蛋白/尿Cr)×[1日Cr排泄量(g)]となり
ますが、通常1日Cr排泄量は約1gなので尿蛋白(mg/dl)/尿Cr(mg/dl)比で代用できま
す。(例えば、尿蛋白定量のみでは118から30mg/dlと一見蛋白尿が減少したかのよ
うにみえても、尿Crが101mg/dlから19mg/dlならば、蛋白/Cr比は1.2から1.6となり
蛋白尿はむしろ増加していると考えられます。この患者はその後も蛋白尿が持続す
るため腎生検を行い、予後比較的不良型のIgA腎症と診断され、ステロイドを含む薬
物療法を開始しました)。(小松康宏.NIS 2004;4196:26)
◎血清蛋白分画とくにα1-AT、Hp(ハプトグロビン)、α2-Mが増加する病態・疾患
1. α1分画(殆んどα1-ATの増加)
・急性期蛋白として:炎症性疾患、膠原病、心筋梗塞、悪性腫瘍特に白血病、
外科手術、妊娠(分娩後2~3か月以内に正常化)
・肝からの逸脱:急性肝炎
・薬剤:エストロゲン、経口避妊薬、副腎皮質ホルモン、プロスタグランジ
ンなど
2. α2分画(殆んどα1-ATの増加)
1) Hp(ハプトグロビン)の増加
・急性期蛋白として:炎症性疾患、膠原病、悪性腫瘍、心筋梗塞など組織
壊死
・火傷、ネフローゼ症候群
・薬剤:副腎皮質ホルモンなど
2) α2-M(α2-マクログロブリン)
・急性期蛋白として:炎症性疾患、膠原病、特にSLE
・慢性肝障害:特に肝硬変
・ネフローゼ症候群
※α分画が増加していてもCRPが増加せず乖離する場合
・ SLEの非活動期
もしCRPが陽性なら活動期または、細菌感染またはSLEによる漿膜炎合併。
・ MM・白血病など造血器腫瘍、ホルモン産生腫瘍はCRP(-)のことが多い。
・ 前立腺癌の骨転移ではCRP(-)のことが少なくない。
・ ネフローゼ症候群や妊娠ではフィブリノーゲンが著しく増加してESRが亢進
するがCRP(-)である。
・ ステロイド剤の大量投与や長期投与ではCRPは著明に低下。
◎血清蛋白分画で二峰性アルブミンを示す原因(NIS 2005;4217(H17/2/19),p113)
1. alloalubumin血症
遺伝性の二峰性アルブミン血症で、無症候性である。正常な移動度を有する
アルブミンに対して、高次構造の微妙な差により荷電に相違を生じたアルブミン
が存在するため、電気泳動で二峰性を呈する。alloalubumin血症では、二峰性
を示すそれぞれのアルブミンの濃度はほぼ等しく、二つのアルブミン分画の値は
ほぼ50%ずつとなる。
2. 薬剤性の二峰性アルブミン
ペニシリン系抗生剤やサリチル酸投与時にアルブミン分画に異常を示すことが
ある。アルブミンの移動度が陽極側に伸びたり、幅広い分画像を呈したり、また
不明瞭な二峰性を示したりする。これは原因薬剤が結合することで、アルブミン
の荷電が修飾された結果と考えられる。薬剤性の二峰性アルブミンは一過性であ
り、原因薬剤の中止により消退する。
バルプロ酸(VPA)投与によってアルブミン分画に異常を来したという報告は
ないが、VPAの血祭中の蛋白結合率は90%前後と高率であり、結合したアルブミン
の荷電を修飾する可能性があるので、本例で認めたアルブミン分画の異常がVPA
投与の影響である可能性は否定できない。
3. 基礎疾患の影響
肝硬変や悪性腫瘍などの腹水が貯留するような病態や糖尿病、肺結核、高尿酸
血症、ネフローゼ症候群などで二次性に二峰性アルブミンが出現することがある
との報告がある。
また、胸水や腹水の貯留を伴う膵疾患の発症時に、二峰性アルブミンが出現す
ることがあり、血清のみならず、腹水や胸水にも蛋白分画で二峰性アルブミンを
認める。その生成量は漏れた膵液の濃度に依存することが明らかにされており、
その原因は、膵液の蛋白分解酵素の影響であることが、実験的に確認されている
VPAの副作用には膵臓への影響があり、高アミラーゼ血症や膵炎が知られてい
るので、VPA投与中に二峰性アルブミンを認めた場合には、膵疾患を念頭に置く
必要があろう。
4. 測定の技術上の問題から生じる二峰性アルブミン血症
測定装置の不具合、使用するバッファーや染色液の劣化等で生じる可能性があ
る。この場合は、同時に泳動した他の検体にも異常が生じるので、明らかである。
以上のように、二峰性アルブミンの出現は必ずしも病的意義を持たず、原因の特異
性も高くはない。よって、同出現時には臨床症状を踏まえて他の検査所見を広く求
め、使用薬剤の中止や変更を含めて、その原因の検索を進めるべきである。
◎滲出液と漏出液との鑑別
滲出液 漏出液
----------------------------------------------------------------
比重 >1.016 <1.015
リバルタ反応 陽性 陰性
TP >3g/dl <3g/dl
胸水TP/血清TP >0.5 <0.5
LDH >200IU/l <200IU/l
胸水LDH/血清LDH >0.6 <0.6
細胞 好中辣またはリンパ珠 反応性中皮、組織球
◎胸水検査でチェックすべき項目と疑うべき疾患
1.生化学検査
・LDH上昇 膿胸、悪性胸水など
・アミラーゼ上昇 急性膵炎、食道破裂、悪性胸水など
・pH低下(<7.30) 膿胸、食道破裂、悪性胸水、結核性胸
膜炎、膠原病に伴う胸膜炎など
・腫瘍マーカー上昇 各種悪性腫瘍に伴う胸水
・ADA(>50IU/l) 結核性胸膜炎
・ブドウ糠低下(>20mg/dl) RAに伴う胸膜炎
・トリグリセリド(>110mg/dl) 外傷、外科手術複、悪性腫瘍などによる
乳び胸
2.細胞
・リンパ球増加 結核性胸膜炎、膠原病、リンパ腫
・好中珠増加 肺炎随伴性胸膜炎、膿胸、急性膵炎
・赤血辣(>5000/ml) 悪性胸水、肺梗塞、胸部外傷
・LE細胞陽性 SLE
3.細菌
・一般細菌 肺炎随伴性胸膜炎、膿胸
・結核菌 結核性胸膜炎
・嫌気性菌 膿胸
・マイコプラズマ、レジオネラ 肺炎随伴性胸膜炎
クラミジア
◎ツ反応で偽の非有意反応(偽陰性)を呈する原
1.被検者自体に関する要因
・感染症
ウイルス(麻疹、流行性耳下腺炎、水痘)
細菌(腸チフス、ブルセラ症、発疹チフス、レプラ、百日咳、重症結核、
結核性胸膜炎)
真菌(南米ブラストミセス症)
・生ワクチン投与(麻疹、流行性耳下腺炎、ポリオ)
・代謝性障害(慢性腎不全)
・栄養(重篤なタンパク欠乏)
・リンパ臓器疾患(Hodgkin病、リンパ腺、慢性リンパ球性白血病、サルコイドーシス)
・薬剤(副腎皮質ホルモン、免疫抑制薬)
・年齢(新生児、高齢で過敏性が「減弱した」患者)
・最近の結核感染、超強力な結核感染
・ストレス(手術、火傷、精神障害、移植反応)
2.用いるツベルクリンに関する要因
・不適切な保存法(光や熱に当てた)
・不適切な希釈液
・化学的変性
・汚染
・吸着(部分的にはTween80J添加により防虫可能)
3.注射の方法に関する要因
・注射する抗原量の過少
・注射筒に吸い上げてから注射までの時期が過長
・深すぎる注射
4.反応の測定と結果の記録に関する要因
・測定者の経験不足
・意識的、無意識的な偏り
・記録ミス
◎微量アルブミン尿の診断基準(厚生省平成2年度糖尿病検査研究報告書)
試験紙法等で尿蛋白陰性の糖尿病症例を対象とする
1.腎症早期診断に必須である微量アルブミン尿と基準を下記のとおりとする。
(1)スクリーニング
来院時尿(随時尿)を用い、市販のスクリーニング用キットで測定する。
(2)診 断
上記スクリーニングで陽性の場合、あるいは初めから時間尿を採取し、
以下の基準に従う。
夜間尿 10μg/分以上
24時間尿 15μg/分以上
昼間(安静時)尿 20μg/分以上
(3)注意事項
a. (1)(2)の両者とも、目差変動が大きいため、複数回の採尿を行い判定
すること
b.試験紙法で尿蛋白軽度陽性の場合でも、尿中アルブミン測定が望まし
い。なお、微量アルブミン尿の上限は 約200μg/分とされている。
H 以下の場合は判定が紛らわしい場合があるので検査を避ける。
1.高度の希釈尿
2.妊娠中・生理中の女性
3.過激な運動後、過労、感冒など
2.除外診断
(1)非糖尿病性腎疾患
(2)尿路系異常と感染症
(3)うっ血性心不全
(4)良性腎硬化症
◎総ホモシステイン値が上昇する疾患
※ホモシステインはメチオニン代謝に由来する硫黄含有アミノ酸で、血中で酸化され
て二硫酸塩になる。この二硫酸塩はホモシステインの二量体であるホモシスチンお
よびシステイン・ホモシステイン結合体として存在している。ホモシステインおよ
び先の二種類の二量体は30%が遊離型として、残りが主にアルブミンと結合して血
中に存在する。ホモシステインは、抗血栓作用をもつ血管内皮細胞に障害を与え、
結果的に血栓形成を助長する。
1.ホモシステイン代謝酵素異常症
2.動脈硬化症および動脈血栓症
高血圧、脳梗塞、虚血性心疾患、ASO、糖尿病(特に脳梗塞合併)
3.静脈血栓症
4.腎機能低下
5.薬剤の使用:MTX、フェニトイン、経口避妊薬(エストロゲン含有)、カルバマゼ
ピン
6.ビタミンB6・B12欠乏症、葉酸欠乏症
※ホモシステインはメチオニン代謝に由来する硫黄含有アミノ酸で、血中で酸化され
て二硫酸塩になる。この二硫酸塩はホモシステインの二量体であるホモシスチンおよ
びシステイン・ホモシステイン結合体として存在している。ホモシステインおよび先
の二種類の二量体は30%が遊離型として、残りが主にアルブミンと結合して血中に存在
する。ホモシステインは、抗血栓作用をもつ血管内皮細胞に障害を与え、結果的に血栓
形成を助長する。
◎HbA1cの偽高値、偽低値について
1.HbA1c偽高値
・アスピリン大量服用時
・アルコール多飲
・異常ヘモグロビン(陰性荷電のHb)の存在
・高ビリルビン血症
・乳び尿症
2.HbA1c偽低値
・赤血球寿命短縮:溶血性貧血、大出血後
・妊娠
・肝硬変
・異常ヘモグロビン(陰性荷電のHb)の存在
◎クレアチン、クレアチニンが異常をきたす疾患
1)血清クレアチン増加(尿中排泄量増加)
a.筋肉疾患
進行性筋ジストロフィー、ポリオ萎縮性筋緊張症、皮膚筋炎
多発性筋炎など
b.甲状腺機能亢進症
c.リウマチ性関節炎
d.糖尿病
2)尿クレアチン排泄低下
・甲状腺機能低下症
-------------------------------------
3)血清クレアチニン増加
a.腎糸球体濾過率の低下
各種腎疾患、鬱血性心不全など
b.筋細胞の増加(尿中も増加)
末端肥大症、巨人症など
c.血液の濃縮
脱水症、火傷など
d.甲状腺機能低下症(尿中も増加)
e.尿路閉患
前立腺肥大、両側尿管閉塞など
4)血清クレアチニン低下
・尿崩症
・筋ジストロフィー(尿中も低下)
◎低テストステロン血症の原因
1.加齢
2.栄養障害
神経性食思不振症、肥満
3.疾患
・呼吸器疾患:閉塞性呼吸器疾患
・糖尿病
・内分泌疾患:視床下部下重体腫瘍,甲状腺機能低下症,クッシング症候群
・慢性腎不全
・悪性腫瘍に対する放射線療法、化学療法
・自己免疫疾患:関節リウマチ、SLE、強皮症
・感染症:結核、後天性免疫不全症候群(これらは栄養障害の影響が大きい)
・肝疾患:肝硬変
・血液疾患:白血病,悪性リンパ腫
・遺伝性疾患:重症筋無力症、Kennedy症候群、Prader-Willi症候群
・高血圧症
・薬剤:酢酸クロルマジノン、酢酸リュープロレリン、酢酸ゴセレリン
・アルコール
◎生理的変動を示す代表的検査項目(日本医師会雑誌、Vol.123、No.7、P991、2000)
1.個体間変動
要因:a.性別
・男性が高値を示すもの:Hb、尿酸、Crなど
・女性が高値を示すもの:T-Chol、HDL-Chol、LH、FSHなど
b.年齢
・新生児~小児期
高値:ALP、αFP、WBC、リンパ球比率など
低値:総蛋白、アミラーゼ、T-Cholなど
・高齢者
高値:LH、FSH、T-Cholなど
低値:総蛋白、テストステロンなど
c.生活様式
・食習慣:TG上昇、T-Chol上昇など
・飲酒:TG上昇、γ-GTP上昇など
・喫煙:WBC増加、CEA上昇、IgG低下など
・その他:高地居住でHb増加
d.その他:遺伝的個体差、職業、人種による差
2.個体内変動
要因:a.日内変動
・午前中高値:ACTH、コルチゾール、血清鉄、ビリルビン、カリウムなど
・午後高値:リン、総蛋白、尿酸など
・夜間高値:成長ホルモン、TSH、尿素窒素など
b.日差変動:TG、血清鉄、ビリルビンなど
c.食事
・食後上昇:血糖値、TG、インシュリンなど
・食後低下:遊離脂肪酸
d.運動・体位
・運動後上昇:CPK(CK)、遊離脂肪酸、乳酸、WBCなど
・立位で上昇:総蛋白、アルブミンなど
e.その他
・季節差(冬季上昇):T-Chol、WBCなど
・性周期:LH、FSH、性腺ホルモン、CA125
・妊娠
上昇:ALP、LDH、αFP、T-Chol、hCG、プロラクチン、WBCなど
低下:総蛋白、アルブミン、Hbなど
◎髄液内の好酸球の出現(好酸球性髄膜脳炎)(NIS、No.4030(2001/7/21)、P19)
※正常CSF中に好酸球は出現しない。CSFに好酸球が出現する病態を好酸球性髄膜脳炎
という。髄液1cmm中10個以上あるいは10%以上が基準。
1.非感染性のもの
・シャント手術
・気脳写
・ミエログラフイー
・白血病
・Hodgkin病
・非Hodgkin病
・サルコイドーシス
・中枢神経系の腫瘍1
・肺癌
・細綱肉腫
・中枢神経系の血管炎
・非ピリン系鎮痛剤
・抗生物質
・化学物質の中毒
・魚の中毒
・脳内好酸球性肉芽腫
・多発性硬化症
2.感染性のもの
・真菌感染
コクシジオイデス症
クリプトコツカス症
カンジダ症
・ウイルス感染
・リケッチア感染
・細菌感染
・寄生虫感染
条虫症一有鈎嚢虫症
マンソン幼条虫症
吸虫症一肺吸虫症
日本住血吸虫症
線虫症−イヌ回虫症
アライグマ回虫症
広東住血線虫症
有辣顎口虫症
イヌ糸条虫症
旋毛虫症
◎新しい血液化学検査、疾患マーカー(日医雑誌2001:90巻)
1. 間質性肺炎マーカー
1) KL-6:IIP、膠原病性IP、過敏性肺臓炎で70~95%に陽性。
サルコイドーシスはII、III期に役立つ。
(肺癌、乳癌、膵癌、肺結核でも陽性)
2) SP-A:IIP、膠原病性IP、過敏性肺臓炎、放射線肺炎で50~90%の陽性率
肺胞蛋白症
3) SP-D:IIP、膠原病性IP、過敏性肺臓炎、塵肺、放射線肺炎で50~90%の陽性率
肺胞蛋白症
2. 心筋梗塞マーカー
1) 心筋トポロニン(T、I):AMIで発症早期(3~5時間、12~18時間でピーク)
出現。
2) 心臓由来脂肪酸結合蛋白(H-FABP):AMIで発症早期(1~1.5時間以内)出現。
3. 腎疾患マーカー
1)シスタチンC:Crより感度良好、早期の腎機能障害のマーカー。その逆数は
CCrと良好な相関。
2) 抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体):半月体形成性糸球体腎炎、Goodpasture。
3) MCP-1(Monocyte chemoattractant protein-1):糖尿病性腎症の組織障害程度
4) Eotaxin:好酸球間質性腎炎
4. 糖尿病マーカー
1) 抗GAD抗体:β細胞に存在するグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)に対する自己
抗体。早期IDDM出現率は80%。
2) 抗膵ラ島抗体(ICA):GAD、ガングリオシド、ICA512/IA-2が対応抗原。
IDDMの発症予知や診断に役立つ。
3) グリコアルブミン(GA):アルブミン半減期は約17日なので、GAは採血時の
約2週間前の糖代謝状態を反映
4) 1,5-アンヒドログルソトール(1,5-AG):リアルタイム性の高いマーカー
変動幅が大きく、薬物治療効果判定、糖尿病の急速な悪化を把握。
5. 骨代謝疾患のマーカー
1) オステオカルシン:骨芽細胞で産生。原発性あるいは続発性副甲状腺機能
亢進症を反映して高値になる。
2) PICP(I型ポロコラーゲン末端プロペプチド):骨形成の程度を反映。
悪性腫瘍の骨転移の診断
3) 尿中ピリジノリン、尿中デオキシピリジノリン:副甲状腺機能亢進症、甲状
腺機能亢進症で増加。骨吸収のマーカー。
4) NTx(I型コラーゲン架橋N-テロペプチド)、CTx(I型コラーゲン架橋N-テロ
ペプチド)
5) ICTP(I型コラーゲンC末端テロペプチド):骨吸収マーカー、悪性腫瘍の
骨転移の診断
6. 心血管ホルモン
1) ANP(atrial natriuretic peptide):心房におおいANPと心室におおいBNP
が主体。尿中への電解質排泄作用、利尿作用、血管平滑筋弛緩作用あり。
心不全で増加して重傷度と平行。
2) アドレノメデュリン:副腎髄質に高濃度に存在するペプチドホルモン。
心筋梗塞で増加。
7. 抗リン脂質抗体検出
APTT単独延長は抗リン脂質抗体症候群(APS)に気づかなければならない。
APTT単独延長し外因系(・・・・・・・・・)凝固異常がないとき、患者
血漿と健常人血漿とを混和するmixing testにより、LA(lupus anticoaglant)
と凝固因子欠乏を区別。次いで抗CL(cardiolipin)抗体とLAを検査して、抗CL
抗体とLAの二種類の抗リン脂質抗体を検出。
◎血中カテコラミン測定の意義(褐色細胞腫、神経芽細胞腫の診断)
アドレナリン、ノルアドレナリン値が正常上限ぐらいでメタネフリンやノルメタ
ネフリン(いずれもアドレナリン、ノルアドレナリンの中間代謝産物)が高値の症
例もあるので、尿中カテコールアミンに加えて尿中メタネフリン2分画をも測定依
頼すると診断効率が向上する(尿中アドレナリンとノルアドレナリンを用いると褐
色細胞腫の診断効率がsensitivity85%、specificity77%であるが、メタネフリンと
ノルメタネフリンを用いるとsensitivityl00%、specificity84%との報告がみられる)。
神経芽細胞腫は小児悪性腫瘍の中で比較的頻度の高いもので、乳児、小児で尿中
カテコールアミン高値であれば本症を疑う。ただし尿中カテコールアミンよりその
代謝産物であるVMAやHVAの方が診断や臨床経過の指標として有用である。最近はこ
れら以外にNSE(神経特異エノラーゼ)が本症の腫瘍マーカーとして用いられ、ま た
ニューロペプチドYの高値も報告されている。
血中カテコールアミンは、さまざまなストレスで変動しやすいので、肘静脈血の
ただ1回の測定値のみが異常高値でも、これによって診断を確定することはできな い。
ただし、およそアドレナリン+ノルアドレナリンのtotalとして 2000pg/ml(2.0ng/ml)
以上の場合には、褐色細胞腫の存在が強く疑われる。褐色細胞腫の局在が、CTなど
の画像診断でできないとき、血中カテコールアミン測定が有用なことがある。すな
わち、左右副腎静脈など局在静脈血中濃度測定により腫瘍の局在を診断できる。そ
のほかクロニジンテストの際にも血中カテコールアミン測定が用いられる。
なお、生理的変動として日内変動では早朝低く、日中最も高く、夜間に低い傾向
を示すが、単に日中に活動的であるといったことを反映していると思われる。その
他体位(臥位→立位)、運動、その他のストレス、低血糖で増加する。
※カテコラミンを増加させる薬物:血管拡張剤(亜硝酸剤、ヒドララジン)α-ブロッカー
※カテコラミンを減少させる薬物:クロニジン、α-メチルパラタイロシン、デキサメサゾン、ブロモクリプチン
(永井書店『臨床検査診断マニュアル』pp.604-605 )
◎尿中K排泄の指標(日内雑誌 2006;95:828-829)
1. 一日K排泄総量:畜尿で測定、最も信頼性が高い。K欠乏があり尿中K排泄が
20mEq/日以上なら腎性のK欠乏。逆に腎外性の高K血症ではK排泄は20mEq/日
以上となるはず。
2. TTKG(transtubular K gradient):基準値4〜10
CCD管腔(尿細管〜集合管)内のK濃度が血管側に比べて何倍高いかの指標。
K分泌部位におけるK分泌効率を反映。
■TTKG = [K+]CCD/[K+]p(plasma)
=([K+]u(urine)/(u-OSM/p-OSM))/[K+]p
・必要条件:u-OSM(尿浸透圧) > p-OSM(血漿浸透圧)
・判定:腎が正常なら、TTKGは低K血症で4以下、高K血症で
10以上になるはず。もし低K血症で4より高いとき
はCCDでのK分泌亢進が原因と推定される。
3. 尿中K排泄量 = 尿中K濃度 × 尿量
(およそ)= CCD管腔内のK濃度 × CCDまでの到達尿量(Na量)
・CCD管腔内のK濃度:尿細管因子
・到達(Na)量は脱水、GFR、浸透圧物質排泄量などに影響
され尿中Na排泄量でおおまかに推測できる。
■重要なのは、正常ではこの2つの因子が互いに連関し、最終的なK排
泄量を一定に保っていることである。例えば脱水の場合、二次性
アルドステロン症によりCCD分泌は刺激されるが、同時に到達Na量
が減少するため排泄総量はほとんど変化しない。逆にNa摂取が多い
とアルドステロンは抑制されるが到達Na量は増える。言い換えれば、
腎性のK調節の異常はこれらの因子の協調が破綻した状態とも言え
る。例えば、利尿薬は両者をともに亢進させ、腎不全では両者が種
々の程度に障害される。
◎血中ALP高値のまとめ(内科2007増大号、Vol.99、No.6、p.1458)
ALP(alkaline phosphatase)はアルカリ条件下でリン酸モノエステルを加水
分解する酵素である。種々の臓器組織中に存在するが、血中に検出されるものは
肝、骨、胎盤、小腸に由来する。ALP・γ-GTPは一般に胆汁うっ滞性疾患で上昇
する。肝疾患以外に胆道系の炎症(胆管炎、肝膿瘍など)、閉塞性黄疸、骨の新
生状態、悪性腫瘍の骨転移、生殖器腫瘍(セミノーマなど)で高値を示す。血清
ALP値が単独で上昇している場合は本症例であげた肝疾患以外に甲状腺・骨疾患
を考慮に入れる必要があり、甲状腺ホルモン(TSH、fT4など)やALPアイソザイ
ムを測定する。
ALPには5つのアイソザイムが存在する(ALPl〜5)。ALP1は高分子ALPであり、
閉塞性黄疸、限局性肝障害などで胆管内庄が上昇したときに血中に出現する。
ALP2は肝のALPであり、健常成人の血清で検出されるALPの主成分である。ALP3
は骨型ALPであり、小児成長期の血清ALPの主成分である。血清ALP3は骨芽細胞に
よる骨の新生に伴い血清中で増加する。骨の成長に相関し、成長期の血清ALPの
主成分である。ALP4は胎盤由来のALPであり、妊娠後期に生理的に検出される。
ALP5は小腸粘膜に存在するALPであり、消化管での脂肪吸収時に、脂肪とともに
リンパ管を経て血中に入る。血液型がB型、O型の人では脂肪食後、血清 LP5が停
滞する傾向にあり、高値を呈する。
ALPは成長期において高値を示す。これは骨増殖による骨型ALPが増加してい
るためで、成人の2〜3倍高値をとる。妊娠後期でも胎盤型ALPの血中への出現に
より、約2倍高値をとる。